▶DJUALの柳さんと 1/2


デザイナーと職人の対話から生まれた「美しき均衡」

DJUAL(デュアル) デザイナー 柳根宇(リュウ グヌ)さん

先日、お邪魔した東西眼鏡愛好会で出会った新ブランドDJUAL。
韓国人デザイナーの柳さんが今年の4月に立ち上げたばかりの注目ブランドです。
機能性とファッション性を両立させたメガネはかっこよくて、キレイ。
イベント会場でも、メディアやデザイナーが強い関心を寄せているのがわかりました。
ビューティフルメガネはどのように誕生したのか、
デビューまでの道のりを振り返り、DJUALの魅力に迫ってみます。


 

モノ作りは語り合うプロセスが大事

柳さんは、日本を拠点に活動している韓国人デザイナー。
ブランドを立ち上げるまで、バイタリティ溢れる前向きな精神で
いくつもの山を越えてきました。


海を渡り、日本にやってきたのは21才の頃。

「デザインの勉強をしたくてイタリアにも行きたかったんですけど、
 両親が心配していたので、すぐに帰れることも考えて
 日本で勉強しようと決めました。
 家族に心配を掛けないように必死で勉強しましたね」

ここから人生を賭けた柳さんの戦いが始まります。
日本に着いて最初にやったことは、ひらがなの練習。
実は日本語が全くわからなかったのだとか。

「昼間は日本語の勉強、夜はデザインの勉強。
 道が開けなかったら韓国に帰るしかないのでやるしかなかったですね」

柳さん、努力の天才と言ってもいいかもしれません。
日本のことをよくわからないまま4月から生活をし、
なんとその年の冬に大学受験にチャレンジ。

そして、日本大学芸術部工業デザイン学科の合格をもぎとったのです。
日芸の受験といえば倍率が高いことでも有名です。すごい。
デッサン、水彩画、スケッチの実技試験だけでなく筆記試験もクリア。
もちろん、その頃には日本語もペラペラに!

驚くのはこれだけではありません。

大学で学んだデザインの知識を生かそうと、
子どもの頃から掛けていたメガネのデザイナーを目指します。

「高い技術を誇る鯖江で勉強したいと思い、電話帳で福井県内のメガネ関係の会社を探し、
「あ」から順番に電話していきました」

しかし、10年前のこの頃は外国人が日本で働くには厳しい条件だったそう。
履歴書を見ただけで落とされることがほとんどだったと言います。

日芸の先輩に紹介してもらい、なんとかメガネ関連の会社に入社。
持ち前のセンスが光り、企画・開発の仕事に抜擢され、経験を積んだのだとか。
多くのことを学んで更に上を目指すため、職場を転々としたそうです。
誰もが知る大手ブランドの企画から、
大量販売を得意とするメーカーのデザインまで・・・。

「憧れのデザイナーの付き人をやらせていただいたこともあれば、
 工場の前で土下座をしたこともありますし、
 デザインの前に人として学ぶこともたくさんありました。
 色々な仕事ができたからこそ、
 メガネはデザイナー1人の力で完成するものではないと痛感しました」

有名デザイナーの元で仕事をしていた柳さんは、
このまま一生身を預けるか、自分で新たに道を作るかを考え、
自分の人生を賭ける思いで2010年に「DJUAL」を立ち上げたのです。


DJUALは数字の2の意味があり、これは「相対性」を表しています。

「本気でモノ作りするにはデザイナーと職人の対話が大事。
 作る人や流通させる人やユーザーや
 色々な立場の人の意見や知識を語り合うプロセスが
 メガネ作りの原点だと思うんです」

だから自己満足の一方的なメガネは作らないといいます。

「機能性」と「ファッション性」を両立させ、
ユーザーの理想的な「価値」を現実的な「価格」で買えるようにし、
「素材」の特性を最大限に生かした「カタチ」にしていく。

これが柳さんの掲げる眼鏡相対性理論であり、“美しき均衡”なのです。


柳さんの思いは、仕事のやり方にちゃんと表れていました。

量産型のメガネ販売店にいた時は、
図面を引いた工業デザインを職人さんに送っていたそうですが、
今は自分で書いたスケッチを見てもらっているそうです。

「できない、と言われたら、なぜできないかをちゃんと話合いますね。
 技術的に無理なのか、素材と合わないのか、予算や納期の問題なのか・・・。
 改善策を考えながら、セルロイドを自分で削り、
 見本を職人さんに渡して、また話し合います。

 自分がわからないことを押しつけられないんで、
 まず1本作ってみるんです。
 そこからさらに何度も修正を繰り返します。
 修正を嫌がる人もいるかもしれませんが、
 理想を追求したら当然のことだと思っています。
 真摯に向き合ってくれる鯖江の職人さんと
 最高のメイドインジャパンを作りたいんです」



ご自分で削った見本をいくつか見せてくれました。
ほんの少しの削り方の違いでメガネを掛けたの人の感触や印象が変わってきます。


こうして、韓国生まれのメイドインジャパン新ブランドが誕生しました。
質実剛健ともいえるメガネには、
計算し尽くされたデザインの秘密が隠されています。

次回はDJUALメガネの見所を探りながら、女子にも人気のモデルを紹介します!

(取材&テキスト/山口愛愛)

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